沿岸からのぞむ「在日の海」
〜下関・宇部・仙崎を巡る2泊3日の旅〜
———ある在日朝鮮人作家の一生と小説を手掛かりに、時空を超えて物語を感じる
本州の最西端、海にかこまれた山口県。
まだ旅客機が自由に行き来していなかった時代、山口は日本と朝鮮半島をつなぐ数少ない玄関口でした。
現在では「関釜フェリー」という名の船が下関と釜山間を往来していますが、20世紀初頭は多くの日本人がこの下関から「関釜連絡船」に乗って植民地へ入植していきました。朝鮮人などもこの下関を経由して、勉強や仕事をしに、または日本各地の危険な労働現場へと強制的に送られました。宇部にある長生炭鉱もその現場の一つです。また戦後、仙崎という港では、日本の植民地支配から解放された朝鮮人の帰国者、そして朝鮮戦争などの混乱から逃れてくる密航者で溢れ返ります。
今回の旅は、山口県内の3つの沿岸部を訪れ、数多くの在日朝鮮人が渡り犠牲となった「海」の物語に想いを馳せる旅。実際に、地域で活動する在日コリアンや日本の市民にもお話を聞き、山口、ひいては日本の現在にまで繋がる盛りだくさんなスタディツアーです。
旅のお供には、2冊の本を。
2024年1月に発売されたノンフィクション書籍『密航のち洗濯—ときどき作家』には、無名だった在日朝鮮人作家・尹紫遠(ユン・ジャウォン)の一生が描かれています。時代と貧困に翻弄されながらも物語を書き続けた尹。尹の短編小説が収録されている『在日朝鮮人作家 尹紫遠未刊行作品選集』(2022年)も片手に、沿岸を歩きます。
あなたの隣にいる/かもしれない在日コリアンの友だちのルーツは?
もしくは、これまで知らなかった/知らされてこなかった自分のルーツは?
人の数だけ、人との関係性の数だけある物語。
私たちの日常を、歴史を、物語るためのヒントが山口にあります。
文学作品を片手に、一緒に山口へ出かけましょう!
*2022年度長崎スタディツアーの報告もあわせてご覧ください。
行程表
*早稲田奉仕園スタッフが現地係員として同行します。
*2泊3日の現地集合・現地解散プランです。1日目は13時半頃開始予定です。
*3日目は徒歩移動が多くなります。
ツアーのポイント
- 現地集合・解散だから時間&費用を節約!
出発地が決まっていないので、自分のスケジュールに合わせてお得に現地までの交通手段を決められます。日本各地から集まった参加者と交流しながら、週末を有効活用できます。 - 航空券手配も可能!
航空券が必要な方で自分で手配が難しい場合、旅行会社に任せることも可能です。航空券セット価格の目安は、概算70,000〜95,000円です。(出発日が近づくほど高額になります。) - 個人旅行では行けない場所&聞けない話!
観光地化されていない場所はなかなか個人で行くことができません。ツアーだからこそバスでの楽々移動または徒歩でのディープな街歩きが可能です。
3つのポイント
①小説をガイドブックに物語に入り込む
在日朝鮮人作家・尹紫遠の作品に登場する地名をたどりながら、沿岸を歩く。フィクションとノンフィクションの間を行き来する物語を通して、当時生きた人たちの「生」に想像力を膨らます。
②市民運動の実践や課題から学ぶ
1970年代から活動を続けている「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」による長生炭鉱の案内。刻む会は、1942年宇部市の海底炭鉱で183名の坑夫が犠牲となった水没事故の真相究明や遺族との交流、追悼碑建立に取り組んできた。近年、遺族への遺骨返還に向けて政府交渉や潜水調査を本格化させた。
③在日コリアン女性の個人史や活動の話をきく
在日朝鮮人は、決して歴史の中だけの存在ではない。今を生きる在日コリアンにはどのような家族史と個人史があるのか。山口では朝鮮学校がどのようにできたのか。地域で韓国語講師や臨床心理士として活動する在日コリアンたちの声をきく。
3つの旅先を繋ぐ物語
①下関:朝鮮と日本の玄関口
事実上、大日本帝国による朝鮮の植民地化が始まった1905年、日本の大陸と朝鮮半島を結ぶ「関釜連絡船」が、下関から就航しはじめます。最初は主に日本からの入植者たちがこの船に乗り朝鮮へと渡って行きますが、1920年代からは出稼ぎや留学などで朝鮮からも日本に渡って来るようになりました。また、戦後は厳しい差別に晒されながら多くの在日朝鮮人が生活を営む場所となりました。
②宇部:強制連行と労働の実態
1940年代になると日本の戦局は悪化し、太平洋戦争のための燃料となる石炭や飛行機などを生産するために、たくさんの朝鮮人が日本各地の危険な炭鉱や軍需工場などに連れてこられました。宇部の長生炭鉱もその一つであり、1942年に引き起こされた大事故によって182名の坑夫が犠牲、そのうちの138名が朝鮮人労働者でした。当時の労働現場の跡地や追悼碑をめぐりながら、長年活動してきた市民団体に、お話を伺います。
③仙崎:解放後の帰国、そして密航
1945年の敗戦により、植民地各地に居住していた日本人が日本に引き揚げてきます。佐世保、博多、舞鶴など日本各地にいくつもの引揚げ港が設置され、そのうちの一つの仙崎港には約41万人が上陸しました。その反対に、ここから約34万人の朝鮮人が帰国していきました。しかし、解放後の朝鮮半島では住めないほどの混乱が続き、生活を求め多くの朝鮮人が命懸けで日本に「密航」してくることになります。
開催概要
| 日時 |
2026年3月13日(金)~15日(日) 2泊3日
※現地集合・現地解散
※当日、13:30に「長生炭鉱ひろば」に集合です(宇部空港よりバスか電車で約30分、最寄駅は「床波」駅)。それまでに各自山口に到着している必要がございます。
※航空券セットご希望の方は、旅行会社にご相談ください。 |
|---|---|
| 参加費 |
40,000円 |
| 参加費に含まれるもの |
宿泊料金(2泊・2名1室利用)、貸切バス代、入館料、旅行傷害保険、朝食2回、昼食2回 |
| 参加費に含まれないもの |
航空運賃、自由行動時の経費、夕食、シングル部屋希望の方(追加料金: 1,000円[1日目のみ、2日目はツインシングル同額]) |
| 利用宿泊施設 |
ホテルルートイン宇部(宇部市内)
プラザホテル下関(下関市内) |
| 定員 |
15名(最少催行人員10名) |
| 申込締切 |
2026年2月13日(金) |
| 企画 |
公益財団法人早稲田奉仕園 *旅行企画実施は富士国際旅行社が行います。 |
| 情報保障 |
UDトークや筆談によるサポートご相談ください。 |
| 申込方法 |
以下「参加ご予約はこちら」より、申込フォームを送信ください。 |